SHIBUYA COP 2021

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Gladys Habu

Mock COPのソロモン諸島代表グラディス・ハブさんが、沈んでしまったケール島に立って、
COP26議長や太平洋諸国の首相に向け、メッセージを発信しました。

完全に海没してしまったケール島

現在26才のグラディスさんが生まれた時には、島は無事でした。
14才のころ、島が沈みはじめ、現在は胸の高さまで水に沈んでいます。
島は沈み、人々が家を失い、子供たちは飢えているのに、太平洋地域での政治的な対立は続いています。
若者たちの未来、そして次世代の子供達の未来に向けた、グラディスのスピーチは心に刺さります。

メッセージ全文

太平洋諸島の首相・大統領、COP26議長のアロク・シャルマ様、太平洋諸国のリーダーの皆様、英国の代表の皆様。
今朝、皆様と関わる機会を与えられたことを大変光栄に思っています。

さて、話は1995年3月下旬にさかのぼります。
UNFCCCは、ドイツのベルリンで初の締約国会議であるCOP1を開催しました。
その3か月後、青い大陸の小さな島国で、私の両親は、地球という我が家に、私を迎え入れました。

2009年、デンマークのコペンハーゲンでCOP15が開催されましたが、
そのとき14歳だった私は、大切にしていた島が少しずつ流されていることに気づきました。
ケール島は私の祖父母の家でした。
この個人的な喪失感が、私が気候変動の提唱者になったきっかけです。

2014年、太平洋を隔てたペルーでCOP20が開催されました。
世界の他の国々がCOP20に参加している間に、私たちの5つの島がケール島を含めて完全に海没してしまったのです。
ソロモン諸島での土地喪失の記録だけでです。

私は人生の半分以上で気候変動活動を呼びかけてきましたが、十分には取り組めていないと感じています。
それどころか、私が目にしているのは、特にここ太平洋地域における政治的な対立です。

私たちの島は沈んでいます。
人々は家を失っています。
子供たちは飢えています。
私たちのコミュニティは不健康になり、死にかけています。

今、私たちは最も基本的な人権さえ、手にすることができない危機に直面しています。
もし私たちが団結できなければ、美しい太平洋の未来は失われるでしょう。

太平洋地域のリーダーたちよ、私たちはすでに感染症をはじめ、
気候危機を含むさまざまな戦いで多くの命を失ってきました。
私たちはひとりで解決することはできません。
同じように、団結なしには立ち向かうことはできません。

私からの唯一のお願いは、太平洋諸島各国は、気候危機を宣言し、気候危機に優先的に取り組むこと。
その宣言は、国が私の世代に真剣に取り組むことを示すシンボルとなるでしょう。

そして、11月にグラスゴーで開催されるCOP26に向けて、私はこのようなことを期待しています。
まず第一に、太平洋地域の気候リーダー、特に若者の参加が増えることです。
私たちの声を届けるための、しかるべき場所が与えられていません。
私たちが失った深い悲しみに耳を傾けてください。

第二に、英国政府やその他の国際的な同盟国と緊密に協力し、
国際的なリーダーたちがパリ協定の約束を確実に守ることです。
世界の排出量を目標値まで削減するには、あと10年もありません。

最後に、気候危機に適応するための国際的な資金援助につながる国家計画整備への仕組みづくりの支援が必要です。
私たちは、生活適応を支援するための資金へのアクセスを改善する必要があります。

ご列席の皆様、COPと同じく、私も今年で26歳になります。
この25年間、COPは大きな成果を上げてきましたが、私と同じように、COPにはまだやるべきことがたくさんあります。

そこで私は、特にCOP27を開催する国に対して、ある挑戦を提案したいと思います。
これまでCOPが最も身近に感じられたのは、バイニマラマ大統領率いるフィジーが議長国を務めたCOP23の時でした。
それから26年が経ちましたが、世界最大の気候変動イベントを私たちの地域で開催することはできませんでした。

私たちは、COPを身近なものにする必要があります。
私たちはほとんど何も貢献していないのに、すべてを失う危険性があります。

ぜひ、私たちの海に立って、自分たちの責任の緊急性と重要性を自分で感じてください。
私の愛するケール島の砂地が失われたことは、国際社会に危機を知らせています。

危機に瀕しているのは、私たちの未来だけではありません。
私は、私たちの子供たち.....その子供たちの未来を案じています。

ご清聴ありがとうございました。

English version

Gladys Habu Gladys Habu

グラディス・ハブ

太平洋南西部に位置するソロモン諸島出身のユニセフ太平洋大使、病院薬剤師、気候変動対策の提唱者。
彼女は、がんの早期発見の重要性を訴え、同国唯一のがん治療施設をさらに発展させるための資金を調達したことで、2019年/2020年のミス・ソロモン諸島の栄冠に輝く。2021年1月、気候危機の影響に対する意識を高めるためのキャンペーンが評価され、女王から「Commonwealth Points of Light Award」を受賞。
「太平洋・英国ハイレベル気候対話」の代表として、COP26議長に指名されたアロク・シャルマ氏と面会。ブルーパシフィック・ユースの代表として、COP26太平洋諸島フォーラムの会合に参加。

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